新米

 

 大学時代の畏友が、Uターンして、専業農家になった。

 原発の後の対応の悪さに東京電力と喧嘩した挙句、電気代未納で送電を止められ、意地で、すべてを自家発電に切り替えるという、ま、性格的には、歪んでいるというか曲がっているというか、まっすぐすぎるというか・・・煮ても焼いても食えないし、食べたくもない男だが、作るものは本当においしい。

 平飼の鶏の卵は、黄身が箸で持ち上がるほどしっかりしている。卵かけごはんが、ごちそうと思える味。

 お米も完全無農薬。化学肥料も使わず、蓮華を咲かせ鋤き込み、除草剤を使わないために、合鴨のひなを田んぼに放し、合鴨が水を掻くときに雑草の育成を抑えてくれるという自称「れんあい米」。

 特に新米は、おかずがなくても、いくらでも食べられる。「銀シャリ」とは、よく言ったものだ。

 

 現役で工業大学の学生になったのに、失恋して「カムイ伝」を読んで人生観が変わり人文学部のある大学を受けなおしたという彼が、出版社の編集者を経ての専業農家への転身は、びっくりしたが、自家発電のソーラーシステムなども自分で作ってしまう今のその生活には、必要だったのかもしれない。

 

 新しい農業用の道具(耕運機や田植え機や・・・)を農協に借金して買わされて、払い終わる前に、また、新型を買わされる。農協のあり方にも反抗して?故障しても、自分で部品を調達したり工夫したりして、使い続けている。何でも作ってしまう。

 

 素直にすごい!と言ったら

 百の仕事ができるから「百姓」っていうんだ!!と威張られた。

 

 冷静に考えたら、お米作りというのは、一生で50回ぐらいしか挑戦ができない。

一回失敗したらまた、1年がかり。

 今日失敗したら、明日。この製品失敗したら、次の製品。と何百回も、何千回も試せるわけではない。

 

 たった50回しか挑戦できないと思うと、1回にかける必死さも本気度も違ってくる。

 

 そんな1年がかりの結晶を、特に美味しく頂ける「新米」の季節がやってきました。


 

 ここまで引っ張っておきながら、らこむのお米は秋田の小野さんからの直送で、諸事情から完全無農薬の彼のお米ではありません。

 

 でも、食味は負けず劣らずおいしく、つやつやと輝いていますので、ぜひ、食べに来てください。

 

 

 

 

2019年09月16日